Kenichi's Time Out !

最近なにかいいことないかしら?
素敵なクラシックCDや本などの紹介とちょっとおもしろい話をUPしております。
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松田理奈のチャイコフスキーを聴きに行く
高槻市にある現代劇場で関西フィルの演奏会があった。
演奏曲目はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲とシューマンのミサ。



松田理奈さんの演奏を初めて聴いたのは関西フィルの中央公会堂でのシリーズ「古典の真髄」。
2009年3月
その時もチャイコフスキーのバイオリン協奏曲だった。

その後、松田さんはドイツへ留学して勉強をしたのだが、これが見事に出ていた演奏会だった。

昨年、3月の時は前から5列目ぐらいの中央でよくヴァイオリンが聞こえたが、今回は前から2列目の中央よりやや左、ということでちょうどソリストの正面。
松田さんのヴァイオリンが本当によく聞こえた席で、満足だった。

黒いドレスで現れた松田さんのヴァイオリンは2009年の3月と比べると格段に大きな音が出るようになっていたと思う。
しかも、前回と比べたら本当に進歩したというか、客席をぐんぐん引きずり込んで行ったし、オーケストラといい意味で勝負していたように思う。

私はこのコンチェルトの低音の部分、G線がギシギシ言うところが好きなのだ。
ここの部分をどう弾くかで演奏者の評価を決めているようなところがあるぐらい。
もっとも好きなのはジャニーヌ・ヤンセン。
彼女のはとにかくすごい。
それからムター。しかし、ムターの演奏にはムター特有のコブシがあってそれがどうもひっかかる。
神尾真由子もいいが、少々荒っぽい。
デュメイさんもいいが、あまりに流暢でハイセンス。
チャイコフスキーは暴れるぎりぎりのところで納めるのがよい。
そういう意味で今日の松田さんの演奏はそれに近いものがあって私は大満足だった。
第一楽章の終わりで結構まともに拍手が来たが、あの気持ちはよくわかる。
今日の第一楽章の出来栄えはすごかった。
主題が戻る前のカデンツの張りつめた緊張感や迫力。
その後のオケと一体となったエンディングなど、申し分なく、思わず拍手がくるのじゃないか?と思ったら案の定、拍手が来て、それも結構盛大に来たのだが、これは本当に称賛の拍手と思ってよいだろうと思った。
この後の第二楽章から第三楽章にこれが続けば最高だったのだが、少々疲弊しかも知れない。
第三楽章ではもうちょっと力強さが、粘りが欲しかったなぁ。
でも、今日の演奏は私は大満足であった。
第一楽章は本当に感動して涙が出そうになったほど。
年の瀬を間近に控えてよい演奏に出会ったものだ。

続くシューマンのミサは初めて聴いたが、これも立派なミサで年末を控えて、心が洗われる思いだった。

ところでこの演奏会。ちょっとおもしろかったのが私のお隣さん。
80歳ぐらいのおばあちゃんと35歳ぐらいのお孫さんなろうか。
休憩時間に二人でよく話をしているのである。

開演前の会話より・・・。
「うわ〜、こんな前やで、めちゃめちゃいいがな。音大きいやろなぁ」
「松田理奈ゆうソリストらしいな。知らんなぁ。でも、有名ならええちゅうもんでもない!な」
「(入口で配布されたチラシを見て)うわ、シベリウス、聴きたいなぁ。絶対に行きたい。大好きやもん。場所どこ?シンフォニーホールやて、知らんなぁ。どこにあるんやろ。開演19時って仕事休まなあかんな。18時終わりだから絶対に間に合わん。まさか10000円ゆうことないやろなぁ。あ、C席2000円や、これだな。ソリストがまた違う人や。戸田さんやて、知らんなぁ。」

松田さんのチャイコフスキーが終わった後の会話より・・・。
「よかったなぁ。普段聞こえんようないろんな音が聞こえたなぁ。ほら第二楽章の中ほどでオーボエからフルートへ、そして、ファゴットへと受け継がれていく旋律とかなぁ、いつもは聴き逃してるのが聞こえたし、ソリストのバイオリンすごかったなぁ。激しいなぁ。体力いるなぁあれは。」
「前回はチェロの方に座ったけど、今回はこっちや。でもビオラの音が遅れて聞こえてきたな。すごかったなぁ。」
「ロビーでこのソリストのCDやら関西フィルのCD売ってるらしいで。普段、聴いているようなベルリンフィルのとは違うんやろけどなぁ」
「しかし、シベリウス聴きたいなぁ。うわ、ブルックナーもやるらしい。4番大好きやん!オルガン見たいな音出るやつやぁ。これはいこ、絶対にいこ。」

演奏会が終わっての会話より・・・。
「シューマンのミサって初めて聴いたなぁ。でも、ミサはどれもあまり変わらんな。今朝のエルガーのチェロ協奏曲もよかったなぁ。デュプレの演奏やったな。あ、この人、横山幸雄ってなんか聴いたことある。茨木でリサイタル、近いやん、仕事場からすぐ行ける。行こうかな。あ、なんか聞いたことある思ったら、163曲をぶっ通しで演奏した人ちゃうん?間違ってなければいいけど、そんな気がしてきた。クラシカでやってたような気がするなぁ。たぶんそうやでこの人やわ、たぶん」

ここにお書いたセリフはすべて35歳ぐらいのお孫さんといっても青年だが、その青年のセリフである。
クラシック音楽に詳しいのか詳しくないのか、まったくわけのわからない人なのであった。
おばあちゃんに一生懸命に語りかけている姿は健気でもあった。


カルメン幻想曲発売のころの松田さん。実際はこんなに怖い感じではない。
これはレーベル面にサインをしてもらったもの。


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ジュジアーノのショパンを聴きに行く
評価:
価格: ¥5,030
ショップ: HMV 楽天市場ストア
コメント:正統派のショパン。第13回ショパンコンクールで優勝なしの第二位。日本へはラフォルジュルネで時々来日している親日派である。

フィリップ・ジュジアーノが大阪に来ている。
26日の夜、遊音堂というピアノの練習施設兼貸しホールで極少人数のサロンコンサートがあった。

阪神野田駅の近く。
とあるビルの2階に小さなホールがある。
初めて行ったのだが、意外に古いピアノ(スタインウェイ)が一台、デンと置いてあり、その周辺に椅子がならべてあるというだけのこじんまりとした会場。

定刻になってそろそろ始まるというころ会場内を見渡してみたが、およそ30人というところ。
少ない!こんな人数でジュジアーノ氏を独占していいのだろうか?と思う。
これはなかなかの贅沢。

そうこうするうちにジュジアーノ氏の登場。
パチパチパチとまばらだけれど盛大な拍手。
長身で細身のジュジアーノ氏が英語でなにやらしゃべりだし、トランスレイトしろと会場の奥にいる中年のご婦人に向かって指示をする。
ご婦人の通訳によると、今日は体調がすぐれず、リハーサルも5分しかしていないので、プログラムで予定していたバラードではなくマズルカを演奏する、とのことであった。
別にトランスレイトがなくてもわかるヨーロッパ英語ではあった。

さっそくマズルカの演奏が始まる。
1番〜9番を一気に弾く。
すると???
なにやらFの音が、いや、F#も・・・音がおかしい。
チューニングがくるっているというよりピアノ線が緩んでいるという感じ。
ギヨーンという響きではなくジンジンという音なのだ。
でも、それにも懲りず、最後まで弾きとおした。

先日、カツァリスの演奏を聴きに行ったが、その時は鍵盤からノイズがするというので、
カツァリス氏が大きな声で「チューナ〜、チューナ〜」と叫んで調律師を呼び出したものだが、ジュジアーノ氏は黙々と弾き続けた。

マズルカ9曲を一気に弾き終えたところでちょっとだけ休憩。

後半は24のプレリュードを一気に演奏した。
私はジュジアーノ氏のすぐ横にいたので指使いもよく見え、私の弾き方とは違うのがよくわかった。
また、ペダリングも細かい。ソステヌートペダルも使っている。
消音ペダルも使っている。
途中ミスタッチ2回。
しかし、美しい音色で、しかも、極めてスタンダードなショパン。
まるで教科書のような演奏である。
一曲ごとになるほど、なるほどと想いを新たにしながら聴いたショパンであった。

演奏が終わると、再びジュジアーノ氏がトランスレイトを求めた。
まったく練習してないが、バラードをやってもいい、というのだ。
途中なにが起こるか分からないが、それでもよいという前提で、だそうである。
あるいは、ワルツを2曲やってもよいというので、無難にワルツを聴くことになった。

華麗なる大円舞曲ともうひとつ演奏が終わったところで懇親会。

ジュジアーノ氏と軽食をつまみながら懇談という次第。
誰も彼のところに行かないので、まずは私が・・・。
私:レパートリーはどのくらいあるのか?(日本語)
G:う〜ん、沢山あって答えられない(英語)
私:レパートリーを維持するための練習はどうしているのか?(日本語)
G:特にこれと言って練習はしない。頭の中でイメージするだけ。もちろん指の技術練習はしている。
でも、レパートリー維持のための練習はしない。今日のプレリュードも3カ月ぶりの演奏だ(英語)
私:でも、そんなことをしていると忘れはしないか?私は時々度忘れして演奏が止まってしまう(日本語)
G:お〜、それは誰にでもあることだよ、君。はっはっは〜。ところで君もピアノを弾くのかい?(英語)
私:少しだけですが(日本語)
G:どんなものを?(英語)
私:小品です。(日本語)
G:??
私:ショートピース、OK?(英語)
G:OK。それは誰の作品?(英語)
私:あ〜、たとえばラフマニノフなどが好きです。(日本語)
G:お〜それはすごい。じゃ、また後でね!(英語)
という感じで日本語と英語のやり取りで、とても不思議な感じではあった。

会場に集まったみなさんと談笑して、ジュジアーノ氏と記念写真を撮ったりしながら、楽しいひと時を過ごした。
演奏会がおよそ1時間。懇親会が1時間で2時間強であったが、とても楽しかった。
こういう催しものは大歓迎。
でも、絶対に儲かってはいないと思いますが・・・。




これが懇親会の時にもらったサイン。Philippe Giusiano と書いた上の大きな文字はなんでしょうねぇ。フランス語でしょうか?読めないのが難点ではあります・・・。

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官能的な音色のデュメイ「チャイ&メン バイオリン協奏曲」
評価:
デュメイ(オーギュスタン),チャイコフスキー,メンデルスゾーン,チャカロフ(エミール),ロンドン交響楽団
EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)
¥ 1,305
コメント:さすがのデュメイです。バイオリンがむせび泣いてます。

オーギュスタン・デュメイが関西フィルの監督になることになって関西ではデュメイさんの演奏を聴く機会が増えた。
私もおかげで大変に楽しんでいる。

昨年の夏はピアノのワグナーさんという美女との演奏でフランクのヴァイオリン・ソナタも聴いたし、今年はシューベルトの「ます」を聴いた。
演奏会の帰りにはホテルで食事をしようとしていた時に偶然デュメイさんに出食わし「どうも!」と声をかけると「ありがとう」と返してくれた。
なかなか長身な紳士である。

それはさておき、先週、街でデュメイさんのヴァイオリン協奏曲集を見つけて購入してみた。
室内楽は数枚所有しているのだが、協奏曲となるとモーツアルトのものが一枚あるだけである。
チャイコフスキーやメンデルスゾーンがどんな感じなのか興味を持ってしまった。

さっそく聴いてみたのだが、これが実に素晴らしい!!
チャイコフスキーは他にもいろいろな人の名演がありデュメイさんの演奏は互角の勝負。
ところがメンデルスゾーンに関して言うなら、
これは向かうところ敵なし!絶対にデュメイさんの勝ちだと思う。
こんなメンデルスゾーンは聞いたことがない。
なんともエロチックで官能的な音色なのだ。
切なく謳いあげるメンデルスゾーンはまるで他の人の演奏とは違う。
冒頭の部分から背筋がゾクゾク。
もう、本当にセクシーな演奏なのである。
何度も言うがこんなメンデルスゾーンは聞いたことがなかった。

いままでメンデルスゾーンの協奏曲はそれほど面白い曲だと思ったことがなかったが、
本来はこんな曲だったのかもしれない・・・。

これは絶対にお勧めの一枚である。
推挙します!!

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ヒラリー・ハーン バーバー&メイヤーのバイオリン協奏曲集
評価:
ハーン(ヒラリー),バーバー,メイヤー,ウォルフ(ヒュー),セント・ポール室内管弦楽団
ソニーレコード
¥ 2,230
コメント:とにかく美しい。バーバーのコンチェルトも素晴らしいが、メイヤーのコンチェルトの美しさはたとえようもない。

ここのところ毎日、朝と夜といい、ヒラリー・ハーンのヴァイオリンでバーバーとメイヤーのバイオリン協奏曲を聴いている。

サミュエル・バーバーというと「弦楽のためのアダージョ」を思い浮かべる人もいると思う。
イギリスの作曲家で時々素敵な作品を書いているのだが、これもその一つ。
もっと演奏されてもいいのではないかと思う。

サミュエル・バーバー ヴァイオリンと管弦楽のための協奏曲 Op.14
第一楽章:アレグロ
第二楽章:アンダンテ
第三楽章:プレスト

第一楽章はどこかで聴いたような懐かしいメロディから始まる。
穏やかな美しい曲である。
そして、ほの暗い第二楽章と激動の第三楽章と続く。
オーケストラとの対比も面白くて、これは20世紀前半の名作かも知れない。

続くエドガー・メイヤー(Meyerなのでメーヤーかと思うとメイヤーと読むらしい)の作品。
こちらは二つの楽章から出来ているのだが、1996年にメイヤーがハーンと一緒にバッハのコンチェルトを演奏した際にハーンのためのコンチェルトを思いついたらしい。
完成は1999年でもちろんハーンにささげられている。
私はバーバーよりもこちらに興味を覚えていて何度聞いても楽しい。

最初の楽章はゆったりとした冒頭に続いてミニマル風な短いが躍動的な旋律が何度も繰り返される。
ハーンが首を左右に振りながら演奏しているさまが目に浮かぶ。
やがてゆったりとした中間部。
ハーンのヴァイオリンと木管が美しく絡みあう。
そして再び躍動的な主題と冒頭のゆったりした旋律を振り返り、静かに終わる。

続く楽章はオケの低音の上で木管がなにやらゆらめくようなオスティナートを延々と奏でる中で、ハーンの静かなヴァイオリンがきらきらと歌う。
やがて、そのまどろむような部分から目覚めると、音楽は躍動的となり、民族色の感じられる部分へと発展し、楽しげな舞踊が展開される。

ひとしきり踊りを楽しんだ後、ふたたびまどろむような揺らめきの音楽が戻ったかと思うと、コントラバスとのフレーズの交換があり、またしても、舞踊が始まり、終焉を迎える。

なんとも素敵な20世紀最後のヴァイオリンコンチェルトではないか!!
この作品はとてもよく書けていると思う。
何度聞いても美しくて、聴きいってしまう。

現代音楽というと小難しいというイメージがあるが、この1枚に収録された2曲は決して作曲技法に溺れたようなものではなく、聴かせる音楽になっているのである。
こういう現代作品もあるのだ
もっと演奏されるべきだと、つくづく思う。

また、このCDはジャケットが美しく、音楽とマッチしている。
晩秋の落ち葉が舞い散る公園であろうか?ハーンがコート姿でたたずむ姿もいいが、ケースを開けてCDを外した時に現れる一面の落ち葉も美しくインパクトがある。
それと見逃してならないのはCDケース裏面の演奏曲目などが書かれた面の写真。
後ろ姿のハーンを撮影した室内写真だが、これがブレた写真となっていて、このブレ具合がなんとも素晴らしく、魅入ってしまう。

また、楽曲の解説をハーン本人が書いていて、これもなかなかによくまとまった文章である。
もちろん英語だが、それほど長い文章ではないので、一読してもらいたい。


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今年の演奏会をそろそろ振り返ってみる。その1、近藤嘉宏の巻き
まだ、11月になったばかりだが、これから仕事も忙しくなることを考え、そろそろこの一年を振り返ってみようという企画の第一回である。

まずは、近藤嘉宏さん。
何故、初回が近藤嘉宏さんなのか?という疑問の向きもあろうかと思うので、まずはそれについて明らかにしておくと・・・単に今年最初に聴いたのが近藤さんだったから、である。
いろいろと期待された方には申し訳ないのであるが、そんなわけです。


(オリジナルのジャケットにサインはありません)

3月13日の高槻のでのリサイタル。

CDと生がえらく違う人がいる中で近藤嘉宏さんはまったくそのままの演奏。
淡々と演奏する。

それと前半と後半の最初にマイクを持って話をするんですね。
結構、ファンサービスにも気を使っているようで好ましい印象。

演奏曲目はベートーベンとショパンを中心としたプログラム。
まぁ、ごく普通にベートーベンという感じだったし、ショパンはあっさりとしたショパン。
それが彼の持ち味でもある。
それについていろいろと批判をする人もいるのだが、私はそうは思わない。
彼のそんなところが彼の味なのであって、何か別なものを望むならそういう演奏家のリサイタルを聴けばよいのである。

演奏終了後にお話し会というのがあって、希望者はもう少しお金を払って参加する。
そうすることで彼のリサイタルは音楽が全人的に楽しめるのである。

このお話会がとても面白くて、すごく良かった。
今でも覚えているのは、彼の手がいつも湿っているので、楽譜が簡単にめくれるのだが、譜面のはじが濡れてしまうし、鍵盤も滑るということ。
現在進めているベートーベンの録音は彼の友人の鈴木大介がプロデュースしていること。
自ら音を出さない指揮者が緊張するということについて自ら音を出している器楽演奏家として納得できないこと。
そして、ベートーベンは構造的な音楽なので誰が弾いてもベートーベンになるが、そこを超えて自分の世界を構築しないとベートーベンを弾く意味がないので、とても難しいこと。
ショパンは柔構造なので、よく研究して表現者として自分なりの演奏をしないと本当の意味でショパンらしくならないこと。
とんかつが好きであるが、特にキャベツが好きでとんかつ一切れごとにキャベツをおかわりすること。
などなど・・・。
簡単に書いたが、実は、このエピソードのひとつひとつが結構長い話なのだ。
そういったことを気さくに話してくれて、いわゆる気負いや衒いというようなものがないのがよい。
基本的に人間がよいのだと思う。

クラシック音楽をどんな風に聴くか?
それは一人ひとりの世界。
私は近藤さんの演奏も好きだし、話を聞くのも大好きなのである。


演奏会とお話会の間にサイン会があったのだが、そこに並ぶのは圧倒的に女性。
中にはハート型の色紙を持参している人やプレゼントを準備しているご婦人もいて、彼の人気の高さを物語っている。



JUGEMテーマ:音楽
 
評価:
近藤嘉宏,マルティヌー弦楽四重奏団
ベルウッドレコード
¥ 3,000
コメント:ショパンのピアノ協奏曲を室内楽的に処理した好演。フジコ・ヘミングの演奏もあるがこちらの方が私はよいと思う。録音は絶対的に誰が聴いてもこちらの勝ちである。

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